the Earth of Free Green
東京自由大学は、1999年から宗教学者・鎌田東二先生をはじめとする現在のスタッフで運営をしているNPO法人です。通常の大学などでは触れられることの少ない隠された知の遺産について、宗教芸術科学と多方面にわたる専門家をお招きし、企業や行政の助成金を受けずにいままで運営をしてきました。発足から14年近い月日を経てさらなる進化と深化を遂げるべく活動を続けています。そして、2016年春を目処に東京自由大学のスピリットを若い世代(通称・ユース企画)が形を変えながら継続していく方法を模索しています。このウェブマガジンは、その模索のひとつとして立ち上がりました。
ネイティブアメリカンの思想には「7世代先の子孫のことを考えて生活をする」という思想があります。日本人も、かつては似た思想を持っていたと思います。例えば、近年まで盛んだった植林は1世代で森が出来るわけではありませんでした。三世代先のことを考えて森を作り、焼畑をしていました。おそらく縄文時代では、植物も動物も根こそぎとらず、先の年のことやほかの生き物のことを考えて収穫していたでしょう。それは、土地の声を聞き、土地と共に暮らす技が自然にあったことにほかなりません。
現在は残念ながら輸入資材に押され、また、ダムやトンネル建設などにより水脈や生態系は変化し山枯れが起きています。そういった経済資本主義の流れによる自然破壊に対して異議があっても個人の意思は届かず、「のれんに腕押し」のような無力感に見舞われます。
そういった中で、出来ることは個人の運動でしかありません。ネイティブアメリカンの言葉にこのような言葉もあります。「自然は微妙なバランスで保たれている。もしそのバランスが崩れた場合、回復するためには7世代の子孫が苦労するだろう」と。もし、その言葉を聴いたならば、私たちの世代から回復に向けた生活を始めなければと思いました。その生活というのは、植林をすることではなく、自然の治癒力にまかせた自然とともに生きる生き方です。日々、何を見て、どう暮らすか。それは梨の礫にも見えますが、光る礫だと信じます。7世代先に希望の小石を投げ、その小石を見失わないように歩き続けたいと思います。
2013年5月1日 東京自由大学ユース企画メンバー一同
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背景写真:高橋あい「ヤマ ムラ ノラ」より