「大重監督…まだ僕も頑張ってます。」

矢野智徳

 

 

大重監督、もう亡くなられてだいぶ経ってしまいましたけど、私は大重監督とお付き合いさせて頂いてずいぶん多くのことを学ばせてもらったと思っています。 大重監督とお付き合いさせて頂いて一番大重監督に教えて頂いたことは命と向き合ってあきらめないということ。それから何事に対しても情熱をもって、そして、忍耐をもって、取り組むっていうことをずいぶん現場で教えて頂いたと思うんですね。 それともうひとつ、大重監督がいつも作業が終わったあといろんなところへ連れて行ってくれたり、それから食事を作ってくれたりしながら、足元の身近な人たち、特に家族の人たちのことを、それから家族含めて身近な人たちの人間関係、それをいつも明るく持続していけるように諦めずにいのちと向き合って人との関係を紡ぐということをずいぶん大重監督が教えてくれたと思うんですね。 私の今、自然のいのちと向き合って日々…今日も同じですけど… 失われていきかけたいのちを救うために、日々あきらめずに身近な人とともに大事にいのちを育む取り組みを持続するっていうことを大重監督から日々…特に沖縄で教えて頂きましたし、それから晩年大重監督が身体を悪くされていつも苦しい想いをしながらずいぶん苦しいんだ痛いんだということを日々電話をしてくれて伝えてくれていましたけど、でも会う度に笑いを失わずにいつも前向きにいのちに向かって諦めない姿勢をずーっと持続してくれたこと。そして、そういう大重監督が強い面と弱い面の両方をいつも垣間見せてくれながら、人は強いばかりではなくて、いつも弱い面を携えているんだっていうことを正直に見せてくれながら教えてくれたこと。それが私にとっては一番大きな大重監督とお付き合いさせて頂いた贈り物…宝物になっているなぁと日々実感しています。 本当にいつもあの苦しい現場のなかで大重監督のあの微笑みとあきらめないあの気力の息づきが私のなかで苦しい時、寂しい時、大重監督が身近にいてくれてるなと言うのがすごく実感できて、その度に「大重監督…まだ僕も頑張ってます。」ということを想いながら、大重監督のことを想いながらいつも現場で身近なところで、どんなところでも大重監督を想いながら生きていれること、それがすごく私にとっては貴重な大重監督とのお付き合いだったなぁと本当にいつも思わされています。そういう大重監督をぜひ皆さん偲んでいただいて、これから日々の大重監督の想いを、特に日本の風土に想いを馳せて、歴史も含めて、いつも日本の環境・地球の環境のことを考えてくれていた大重監督のことを偲んで頂ければなぁと思います。 どうもありがとうございました。

 

 

 

矢野智徳/やのとものり

NPO法人杜の園芸、「久高オデッセイ第一部 第二部」出演者。