ー空に花ー

桑原 真知子

2014夏/子ども達の「HAPニンg」展
2014夏/子ども達の「HAPニンg」展


ファレル・ウィリアムスの‘Happy’のフレーズが耳の底に残ってて、最近の脳内環境音楽になってました。

 

ボーダレスアートHAP(障害児の放課後デイケァ)でのお手伝いが、2年になりました。

子ども達の、作品作りのお手伝いをしてます。厳密に言えば、一緒に遊んでます。ひたすら襖を作る子、ひたすら紙を正方形に切って色を塗り固有の色紙を作る子、独自の漢字を作る子、段ボールで立体の動物を作る子と、ユニークな子ども達で一杯です。

 

みんな、ウンチやオナラの話が大好き。オナラの真似をしたり、ウンチ印を描いたり、粘土でウンチを作ってポトポト落として回って遊ぶ子もいます。五味太郎さんの『みんなウンチ』という絵本が好きですが、最初に興味を持つのは、生理的な自然現象のようです。

 

一緒に遊んでると、開放と緊張の混在するバイブレーションを感じます。

子ども達の気持ちが開放されてる時は、魂からキラキラとあふれ出る、光の川を感じます。

気持ちがピーンと張り詰めてる時には、世界は空気一杯に膨らんだ風船のようで、その薄い皮膜を指先で押すと、破裂してしまいそうな緊張感があります。そんな時、人との距離は、何万光年もあるのかなーと感じたりします。

気持ちがシンクロする瞬間があって、目と目でうなづき合い、ほんの少し心に触れられたと感じる時は、幸せです。

 

同じ障害を持っていても、一人一人まったく違う個別の個性ですが、自分の影を社会に投影させるのが苦手な人達です。心に抱えきれない程の、傷を持っている子もいます。

子ども達が、日々の違和感や軋轢を越えて大人になった時に、自分自身を受け入れる器を、自分で作れているかしら。社会は、その子ども達を寛容に受け入れられる程に、精神的に成熟しているかしら。生命は多様であるからこそ、それぞれの種として存続し、この地球の上で生命の営みを紡いできましたが…人間も同様に。

 

私も子どもの頃から、社会との違和感を感じていました。『みんなちがって みんないい』という金子みすゞさんの言葉のように、大きくなると、自分を受け止めてくれる世界がもう一つ、平行宇宙のようにあるんだと信じてましたが、その世界は自分の中に作るものと、早くに気づきました。疲れた時は、その海の底の様にシンと静かな場所に、潜っています。

 

『Hapニンg』から『Happy』へ。指先の震えるような線や、過敏な耳のアンテナの向こうに、一筋の光が射し込みますようにと、願っています。

 

 

桑原 真知子/くわはら まちこ

広島県生、空見人。多摩美術大学絵画科油画課卒業。広島大学文学部考古学科研究生修了。草戸千軒町遺跡にて、遺物の漆椀の図柄の模写や土器の復元を行う。シナジェティクス研究所にてCG担当とモジュール作成などを経て、現在は魂を宙に通わせながら作家活動を行っている。